ART IN THE PARK (工事中) グランドオープン前のGinza Sony Parkを、アーティストはどう使うだろうか?

展示風景。コンクリート建築の空間で緑と赤のライトが光っている。

Ginza Sony Parkは、2025年1月のグランドオープンに向けて工事中の建物を特別に開放し、アートと建築が融合したプログラム『ART IN THE PARK (工事中)』を2024年11月19日(火)〜12月1日(日)まで開催した。会期2週間を通して来園者が1万人を超え、国内外から銀座を訪れた多くの方々に今ここでしか見られない空間をお楽しみいただいた。本プログラムに参加したのはGinza Sony Parkとも縁深い、SHUN SUDO氏、山口幸士氏、玉山拓郎氏の3人のアーティスト。展示された作品にはどんな想いが込められていたのか?3名のアーティストにその背景を伺った。

展示風景。赤い壁面に飾られた様々な花の作品の前に黒い服の男性が立っている。

SHUN SUDO
"銀座の真ん中に2週間限定の美術館をつくったような印象"

Q1:今回「工事中の建物で開催するアート展」へご参加を決めてくださった決め手はありますか?
新しいGinza Sony Parkを見た時にここで作品を展示してみたいと思いました。 ソニーはやりたいことを追求し、おもしろいと思ったことをカタチにするブランドだと思います。 こんな背の高いビルばかりの銀座の一等地に公園作ること、そのなかに自由な実験室のような空間を作ることが、 まさにそのあらわれではないでしょうか。僕はこれまで好きな絵を好きなように描いてきました。 だから自分と同じように好きなことをやる人たち、そんな人たちがつくるものが大好きです。
Q2: 作品に込められているメッセージや制作される中で抱かれた思いなどはありますか?
テーマ「Zephyr」です。2024年はインド、アメリカ、イタリア、フランス、イギリス、スペインなどいろいろな国を旅しました。 旅先で感じたのは、日本とは異なる光と影、そしてそれぞれの土地で吹いていた風でした。今回の展示では、僕がいろいろな場所で感じた心地よい風をイメージして描きました。 爽やかな風を感じるような展示になればいいなと思いました。
Q3:(工事中のGinza Sony Parkに)実際に展示された風景を見て、どのように感じましたか?
銀座の真ん中に2週間限定の美術館をつくったような印象です。 たくさんの方々にこの空間を味わってもらえたら嬉しいです。

展示の様子

展示風景。壁面に飾られた淡い色彩の作品の前に立つ人のシルエット。

山口幸士
"仮囲いのウォールアートで表現した花畑を12枚の油絵として再構築"

Q1: 今回「工事中の建物で開催するアート展」へご参加を決めてくださった決め手はありますか?
通常は完成してからお披露目かと思うのですが、まだ工事中の箇所が残っていてコンクリートの無機質な空間を見た時に、有機的な要素の作品を展示できたらそのギャップがとても面白いのではないかと思い参加させていただくことにしました。
Q2: 作品に込められているメッセージや制作される中で抱かれた思いなどはありますか?
工事中という限定的な空間で作品を展示するにあたって、Ginza Sony Parkのコンセプトの一つである「人々にリアルな体験を感じてもらえること」を目標に、仮囲いのウォールアートで表現した花畑を12枚の油絵として再構築(再制作)しました。工事中の空間に咲き誇る花畑は今回限りの組み合わせなので多くの方に見ていただきたいです。
Q3: (工事中のGinza Sony Parkに)実際に展示された風景を見て、どのように感じましたか?
真っ白なホワイトキューブのギャラリーと違って、見る場所によって工事中の足場などの隙間から色とりどりのガーベラ作品が見えるのでそのギャップが面白いと思います。銀座のど真ん中の完成前の工事中という状況でこういった企画展をされるのはとても面白い試みだと思いました。

展示の様子

展示風景。赤のライトの作品の前に立つ人のシルエット。

玉山拓郎
"空間を貫いて、作品が物理的に存在"

Q1: 今回「工事中の建物で開催するアート展」へご参加を決めてくださった決め手はありますか?
Sony Park Miniでの「Static Lights」が、一番最初に目の当たりにした、自分の考えが形になった作品でした。自分の中で考え続けていたコンセプトだったりその作品が生み出す”何か”みたいなものを明確に知れた場所がGinza Sony Parkでした。仮説的な機能を持っているGinza Sony Parkが立ち上がった時には、そこで純粋に地続きに、この作品を展開したいなという思いはあって、どんな建物が立つのかは全くわかっていない状態ながらも、今回のような作品がこの場で立ち上がる予感自体は多分当時から抱えていたのだと思います。
Q2: 作品に込められているメッセージや制作される中で抱かれた思いなどはありますか?
空間を貫いて、作品が物理的に存在しているかのように作るということと、Ginza Sony Parkという開かれたあり方みたいなものとは寄り添い合える部分だなと思いました。今回の作品は、コンセプトをものすごく吟味して大事にしたというよりは、自分が今考えていることとこの場所が持つ性質が自然とフィットして、すんなりと自分自身に提案できたなと感じています。
Q3: (工事中のGinza Sony Parkに)実際に展示された風景を見て、どのように感じましたか?
目の当たりにしないとわからないスケール感やイメージを自分はすごく大事にしているんだと再認識しました。
今回のコンセプトはVRやARで簡単に作れるのかもしれないのですが、バーチャルな空間で感じ取れない、蛍光灯が付いているフレームの鈍い光り方だったりちょっとした質量みたいなものを感じてもらえたらと思いました。物質的に実際に作って見せるということの重要さを改めて感じていますし、いい機会をありがとうございます。

展示の様子

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